外構設計を始める際、施主側がどんな外構にしたいかイメージをしておくことはとても大切です。特にオープン外構とクローズ外構どちらにするかによって、設計や予算が大きく変わります。クローズ外構とは、塀や門、生垣で敷地を囲った外構のこと、オープン外構とは塀や門が無い開放的な外構のことを指します。駐車場やアプローチはオープンな造りで、リビングに面した庭部分は目隠しで部分的に囲うという、オープン外構とクローズ外構を組み合わせたようなセミクローズ外構と呼ばれているものもあります。
それぞれにどのような特徴があるか見てみましょう。
<オープン外構のメリット・デメリット>
オープン外構のメリット
① 開放感がある
② 死角が無いため防犯につながる
意外かもしれませんが、空き巣などの侵入者は外からの視線を気にするため、オープン外構は防犯上有利です。
③ 風通し・日当たりが良い
④ リフォームしやすい
やっぱりフェンスが欲しい、門が欲しいとなったときに対応しやすいです。住んでみると外部からの視線が気になる箇所がはっきりしてきます。
⑤ 植栽等で街並みへ貢献できる
お庭の花や植木を手入れすることで、街並みをより良くすることができます。ご近所とのコミュニケーションのきっかけにもなります。
オープン外構のデメリット
① 外部からの視線が気になる
② 境界があいまいなため、容易に敷地内に入れる
角地は通行人がショートカットに通行してしまうこともあります。
③ 子どもやペットの飛び出し
<こんな方にはオープン外構がおすすめ>
オープン外構は広々とした視界を得たい方にぴったりです。周囲の方ともコミュニケーションが生まれやすいので、ご近所付き合いを積極的に行いたい方にもおすすめです。またクローズ外構に比べてコストがかからないため、外構に多く予算を当てられない場合もオープン外構をおすすめします。住んでみてから必要な目隠しを追加することもできるので、とりあえずオープン外構にするという形でもOK。外からの視線や敷地内への立ち入りなどオープン外構のデメリットは花壇や植栽、ゾーニングを工夫することで解決も可能です。
<クローズ外構(セミクローズ外構)のメリット・デメリット>
クローズ外構のメリット
① プライバシーが守られる
② 完成度が高く、見栄えがする
しっかりとした外構になるので、家自体の格が高く見えます。
クローズ外構のデメリット
① コストがかかる
② 閉鎖的な印象となる
③ 通風や日当たりが悪くなる場合がある
<こんな方にはクローズ外構がおすすめ>
外部からの視線をシャットダウンしたい方はクローズ外構を選びましょう。クローズ外構では洗濯物を干したり、庭仕事をしたり、周囲に気兼ねなく作業できますね。室内でも外を気にせずカーテンを開けて過ごせます。オープン外構よりも工事が多く、コストがかかるため、予算がしっかりととれる方に向いています。塀にスリットを入れたり、植栽と組み合わせたりすることで、風通し改善や閉鎖的な印象を緩和させることもできますので、設計者とよく打合せしましょう。
<立地も考慮して>
ご自身のライフスタイルはもちろんですが、街並みも考慮して検討するべきです。オープン外構が多い住宅街にクローズ外構の家が一軒だけあると、街並みから浮いてしまい閉鎖的な印象を与えます。また、土地の形態によっても最適な外構は変わります。北接道の場合は、北側に駐車場とアプローチ、南側にリビングに面したお庭をとることがほとんどです。その場合、オープン外構でも多くの時間を過ごすリビングからは外部の視線は気にならないはずです。南接道の場合は、アプローチや駐車場とリビングや主庭、家の採光が南側にまとまるため、室内にいても道路からの視線が気になります。この場合は、クローズ外構かセミクローズ外構にすると過ごしやすいお庭になるはずです。
クローズ外構かオープン外構か、どちらのスタイルにするかで外構の設計や予算は大きく変わります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、土地の状況も合わせて判断していただければと思います。もちろん、迷う場合はどちらのスタイルにするかの相談から始めても大丈夫です。設計の前段階でしっかりと検討していきましょう。