日の入りが早まり、夜が長い季節がやってきました。この時期は17時には真っ暗になってしまいます。暗く寒い中を帰宅する時、家の灯りが見えてくると心がほっと和らぎますよね。暖かく家族を迎えられる家づくりには、外構の照明計画が重要です。防犯面や意匠面でも、照明をうまく使うことで良い効果が得られますので、外構を計画する際は、照明も忘れずに取り入れましょう。
室内の照明は空間自体を明るくすることが目的です。対して外構の照明は、何かを照らして反射した光によって明るさを感じさせます。夜の暗闇自体を明るくするには投光器のような大変な光量が必要ですよね。何をどのように照らすのかが重要になってきます。
樹木を照らす照明にはスパイク式のスポットライトがおすすめです。角度の調整ができるので、対象物に応じた最適な光が選択できます。樹木を照らす時は樹形や樹種によって照明を変えましょう。軽やかな株立ちの樹形には、アップライトで下から照らすと幹の繊細さが強調され美しく感じられます。反対に、幹が太く葉が茂っている樹木を下から照らすと、陰の部分が強調されてしまいきれいにライトアップができません。真下ではなく、離れた場所から樹木全体を照らすような照明が適しています。
落葉樹か常緑樹かによっても照明の使い方を変えましょう。薄い葉を持つ落葉樹は葉が光を透過するため、下からの照明を受けると樹木全体がふんわり明るくなり、美しい樹形が浮かび上がります。逆に葉が厚い常緑樹は、周囲に葉の陰が強く出てしまうため、アップライトは好ましくありません。上から照明を当てると、厚い葉がつややかに光り、魅力的な表情を見せてくれます。
庭園灯は周囲を柔らかく照らす照明で、庭部分やアプローチに最適です。昼間も見える位置に設置することが多いので、照明自体のデザインもお好みのものを選びたいです。アイストップとなるようなデザイン性の高いものを選ぶのも楽しいですね。すっきりシンプルがお好みの方には地中埋め込み灯がおすすめです。余計な意匠は無く、明るさが欲しい場所を無駄なく照らしてくれます。施工後新たに追加するのが難しいものなので、忘れずに設計に織り込みましょう。
生活の中で必要となるアプローチや駐車場の照明はグレアが少ないものを選ぶようにしましょう。グレアとは不快な眩しさのことで、視覚認識能力を一時的に低下させることがあります。フードがついていて光源が見えないデザインのものや、間接的な光を利用するとグレアは感じにくくなります。また色温度の低いもの(暖色系)を選ぶこともグレア対策となります。
日中は仕事や用事、学校などで、家族が家に揃うのは夜がメインとなります。そんな夜の時間を素敵に過ごせるよう、外構の照明計画もしっかり行いたいものです。素敵な照明があると、夜の庭も楽しくなりますよ。